1.診療科について

14人のスタッフで、手術麻酔を年間約3300例担当します。局所麻酔・伝達麻酔を除くすべての手術の麻酔を麻酔科専門医が中心となり実施しています。令和4年度より周術期支援センターを稼働させ、大部分の予定手術症例において、十分な術前評価、専門診療科紹介、常用薬の調整などを十分に行ったうえで手術に臨んでいただける体制を整備しています。手術麻酔の充実に加え、救命救急センターにおいて新型コロナウイルス感染症を含む多種多様な重症患者さんの診療を24時間体制で行うClosed ICUを運営しています。加えて、救急外来において多発外傷を含む重症救急患者の初期診療、またペインクリニック外来で難治性の痛みの治療にも従事しています。
岡山赤十字病院麻酔科では、上に述べたように麻酔ばかりではなく、ICU、救急、ペインクリニックという様々な分野で各専門医を中心とした診療を構築し、幅広い経験を積む機会を提供します。初期研修はもちろん、麻酔科後期研修・専攻医の募集も随時行なっていますので、お気軽にお問い合わせください。

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Tel 086-222-8811(代表)
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2.麻酔科について

1.手術麻酔

近年の傾向として全身に重篤な合併症を有する症例や高齢者の手術・麻酔が増加しています。また当院は救命救急センターを有し、外傷や他院からの紹介患者をはじめとする緊急手術が極めて多いのが特徴です(緊急手術件数は全手術件数の約30%を占めます)。このような患者群に安全かつクオリティの高い麻酔・周術期管理を提供するため、麻酔科専門医(当院麻酔科に在籍する麻酔科医の多くは麻酔科専門医の資格を有しています)を中心として手術室看護師をはじめとするコメディカルスタッフと連携して日々の業務を行なっています。令和2年、3年度は新型コロナウイルス感染症の影響を受けましたが、通常手術症例数は年間約5300例、うち麻酔科管理症例数は約3300例です。令和2年度より、富士フィルム社製自動麻酔記録システムPrescient ORを導入し、周術期を通しての情報管理、正確な記録、麻酔科医の業務改善も行なっています。

麻酔科

2.術前麻酔科外来(周術期支援センターPOST)

令和3年度より周術期管理を学んだ手術室看護師、薬剤師と協力し、術前麻酔科外来の運用を開始しました。入院前に各種検査の評価、専門診療科紹介、薬剤師による内服薬の管理などを必要に応じて行った上で、麻酔科医による評価と麻酔計画を立案し、スムースかつ安全に手術を受けることができるようサポートしています。
令和4年4月には周術期支援センター(PostOperative Support Team POST)が設立されました。周術期の栄養管理、リハビリテーション、疼痛管理も守備範囲として、より包括的な周術期のサポートを目指します。段階的に整備を進め、令和4年度中には麻酔科管理を行う全ての予定手術を対象とする予定です。詳細については以下のホームページをご覧ください。

>>周術期支援センターのホームページへ

3.集中治療

当院のICUは12床で、救命救急センターICUとして救命救急入院料4を算定しています。集中治療専門医・救急科専門医の資格を有する医師をはじめとして、24時間365日当科所属の麻酔科医がICUに常駐し各科主治医と協力し診療する、Semi-closed ICUとして運用しています。心肺停止蘇生後、重症外傷、敗血症、脳血管疾患、呼吸循環不全、重症中毒などのさまざまな重症救急疾患に加え、大手術術後管理患者、院内急変患者など年間約2000例(うち救命救急入院800例)の重症患者に対応しています。令和3年度にはICU内に6床の陰圧個室を増設し、新型コロナウイルス感染症重点医療機関として新型コロナウイルス感染症患者ばかりでなく重症感染症患者の集中治療管理を安全に遂行できるようになりました。併せて重症系記録システム(富士フィルム社製Prescient ICU)を導入し、より緻密・正確で効率的な業務ができるよう改善を行なっています。毎朝全ての入室患者に対して多職種カンファレンスを行い、治療方針を決定しています。

麻酔科

4.ペインクリニックについて

複数のペインクリニック学会専門医を中心として毎日専門外来診療を行っています。 当院は日本ペインクリニック学会認定施設に指定されています。難治性疼痛患者さんに対する、入院による透視下ブロック治療、熱凝固治療に加え、外来でのエコーガイド下のブロック治療も行なっています。

>>ペインクリニック科のページへ

5.救急医療・災害医療

専攻医を含めた14名の常勤麻酔科医全員が、救命救急専任医師として救命救急センターの重症救急患者診療と、救命救急専任当直を救急科と協力して担当しています。また日夜を問わず院内、救急外来の急変患者、重症患者にも麻酔科全体で対応しています。 いっぽう赤十字医療救護班のみならず、DMAT(Disaster Medical Assistance Team)隊員、岡山県災害医療コーディネーターとして複数の麻酔科医が登録しており、大地震、大事故、激甚災害などに備えています。実際に東日本大震災、熊本地震においては、初動班として発災当日に、西日本大水害においては複数の麻酔科医が現地に派遣されました。

施設認定

  • 日本麻酔科学会 麻酔認定病院
  • 日本集中治療医学会 集中治療専門医研修施設
  • 日本救急医学会 認定医指定施設
  • 日本ペインクリニック学会 ペインクリニック専門医指定研修施設
  • 日本麻酔科学会 麻酔認定病院
  • 日本呼吸療法医学会 呼吸療法専門医研修施設

3.医師紹介

医師のご紹介  外来診察表

4.ICUについて

岡山赤十字病院 ICUのご案内

岡山赤十字病院ICUはベッド数12床で、多くの重症患者さんの診療に多職種チームで従事しています。対象疾患としては心臓血管外科、脳神経外科などの大手術術後患者、院内での急変患者に加え、救命救急センターICUとして、岡山県南東部のみならず、県外からも重症救急患者を受け入れています。心肺停止蘇生後、重症敗血症、重症多発外傷、脳血管疾患、重症薬物中毒などさまざまな疾患が含まれます。それに加え、重症新型コロナウイルス感染症患者も、ICU内の感染対策を徹底した上で受け入れています。

麻酔科

岡山赤十字病院ICUの患者管理は集中治療専門医あるいは救急科専門医の資格を有する麻酔科医師が原則として施設内に常駐し、各診療科の主治医と協議し治療方針を決定する、Closed ICUとして運用しています。毎朝全ての入室患者さんに対して、医師、看護師、薬剤師を含む多職種でのカンファレンスを実施し、当日の治療方針を検討・決定します。年間入室重症者数は約900名、うち救命救急患者が700名を数えます。これに加えて手術後患者のリカバリー(回復室)としても運用しており、年間総入室患者数は2000名を超えます。2020年度、2021年度は重症新型コロナウイルス感染症患者の受け入れのために重症病床確保を行なっている関係上、入室患者数は減少傾向にあります。

麻酔科

麻酔科

数多くの重症患者さんが入室するいっぽう、ICUのベッド数は限られています。新型コロナウイルス感染症患者の受け入れ時には、感染対策を徹底しICU内での院内感染を未然に防ぐため、やむをえず入室患者を制限せざるを得ない場合もあります。したがって、ICU入室中の患者さんの重症度によって優先順位を付け、一般病棟に移動をお願いすることもありますので、あらかじめご理解をいただきたいと思います。
ICU入室患者さんのご家族の面会については、原則として禁止しておりますが、特に新規入室時や急変時など主治医とICU担当医が必要と認めた場合には、短時間の面会を許可しています。その際も発熱や呼吸器症状など新型コロナウイルス感染が疑われる場合や、感染者との接触がある場合などは面会できないことをご了解ください。

ICUにおける看護について

ICUに入室される患者様は全身状態が不安定であり、常時モニタリングや人工呼吸、多数の点滴類の管理を必要とするため、安全で速やかな対応と根拠に基づいた看護の提供が求められます。
私たちICU看護師一同は、当院看護部の理念である「一人ひとりを尊重し、温もりのある安全な看護の提供」を目標とし、患者様から一番近い立場で患者様とご家族の想いに寄り添い、苦痛を緩和できるよう、早期回復に向けた看護援助を行なっています。最善の看護の提供のために、医師や他職種と連携し情報共有を行うとともに、看護師一人ひとりが日々自己研鑽に励んでいます。
新型コロナウイルス感染症に対応するため、現在原則としてご家族の面会を制限させていただいており、患者様、そしてご家族も不安の中でお過ごしのことと思います。後述(PICS-F)いたしますが、近年患者様ご自身はもとより、ご家族のメンタルヘルスとそのサポートの重要性が集中治療医学の大きなテーマとなっています。当ICUではご家族の不安を少しでも緩和できるよう、来院時の荷物受け取りや面談調整、電話での個別対応なども適宜行なっておりますので、遠慮なく看護師にお声かけいただきますようお願いいたします。

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集中治療とは(日本集中治療医学会ホームページより転載)

集中治療とは、“生命の危機にある重症患者さんを、24時間の濃密な観察のもとに、先進医療技術を駆使して集中的に治療するもの”であり、集中治療室(ICU)とは、“集中治療のために濃密な診療体制とモニタリング用機器、ならびに生命維持装置などの高度の診療機器を整備した診療単位”と定義されています(今井ら. 日本集中治療医学会雑誌 2009;16:503-504)。

実際、循環不全、呼吸不全、意識障害、腎障害、凝固障害などの臓器不全により、生死の境をさまよう患者に対する生命維持のための診療は、1990年台以降、長足の進歩を遂げました。その原動力の一つとして、各種の薬剤・機器を含めたICUというハードウェアの整備が進んだことが指摘できますが、現在、患者の予後改善に大きく影響するのはむしろソフトウェアの部分、すなわち専門トレーニングを受けたドクターやコメディカルがその診療に深く関与することが重要であるとされています(Pronovost PJ., et al. JAMA 2002;288:2151-62)。すなわち、臓器機能不全をきたした重症患者の予後改善のためには、最良の臨床研究データに基づき、高い質で効率の良い診療を行う集中治療専門スタッフからなる“ICUチーム”の存在が不可欠なのです。

一方で、内科系・外科系の各専門診療科の専門診療も、驚くべきスピードで進歩しています。その結果、各科医師が専門医として質の高い診療を行うためには、長いトレーニング年月を要し、重症患者の全身管理をトレーニングする時間を取ることが難しい状況です。また、各専門診療科医師は日常診療時間のほとんどを手術、手技、外来、病棟業務に費やすことが求められ、ICUで重症患者に向き合う時間を取れません。もしICUに自分が主治医である患者さんが入室したら、集中治療専門スタッフの存在は大きな安心材料になるとともに、安心して専門診療に没頭することができます。集中治療専門スタッフの存在は、患者さんばかりでなく、各専門診療科医師にも福音と言えるでしょう。

重症患者に良質な診療を行うためには、専門診療科医師による質の高い専門診療に加えて、集中治療専門スタッフによる質の高い全身管理、すなわち“ICU退室後を見据えた重要臓器の機能サポートおよび合併症予防”が必要です。長期予後の改善という最終目標の達成のためには有能なICUチームの存在が不可欠です。ICUチームはICUにおける中心的な役割を果たしますので、この分野を専門的にトレーニングし、実践し、研究を行う集中治療医すなわち”Intensivist”や急性期専門コメディカルの誕生が期待されます。また、急性期専門コメディカルの必要性が高まっています。日本集中治療医学会は、このような、ICUチームの皆のために存在します。

PICS(Post Intensive Care Syndrome;集中治療後症候群)について(集中治療医学会のホームページより転載)

PICS とは、ICU 在室中あるいは ICU 退室後、さらには退院後に生じる身体障害・認知機能・精神の障害で、ICU 患者の長期予後のみならず患者家族の精神にも影響を及ぼします(図1)。 PICS は近年の救急・集中治療領域のホットトピックスの1つで、近年 ICU 患者における長期的な運動機能・認知機能・精神の障害として様々な報告がなされるようになり、市民および医療従事者へのPICS の啓発活動は 2010 年以降の集中治療医学における解決すべき重要課題になりつつあります。

麻酔科

PICS の3つの症状

1)運動機能障害

PICS の運動機能障害として、肺機能障害、神経筋障害、全般的身体機能障害などがあります。特に重症疾患の罹患後に左右対称性の四肢のびまん性の筋力低下を呈する症候群を ICU-acquired weakness(ICU-AW)と呼び、PICS の運動機能障害のなかで最も重要なカテゴリーとして注目されています。

2)認知機能障害

認知機能障害は、ICU退室患者の30-80%に発症します。認知機能が障害された高齢者は、死亡率増加のリスク因子だけでなく、医療費の増加にも関連し、さらに家族の大きな負担となるため、大きな社会問題となります。ICU で遭遇する認知機能障害の多くはせん妄ですが,うつ病の発症による認知機能障害や高齢者では認知症の悪化なども認められます。

3)精神機能障害

うつ病、不安、心的外傷後ストレス障害[posttraumatic stress disorder (PTSD)]が PICS の精神障害を構成する要素です。重症患者の生存者のうち、30%はうつ状態に苛まれ、70%は不安に苦しみ、10−50%は PTSD を発症します。そのため、可能な限り精神的なアセスメントを行い、適切な対応が必要です。

患者家族における PICS

PICS は生存している ICU 患者でのみで発生する一方、PICS-F は生存者および非生存者の家族で発生することがあります。これを postintensive care syndrome-family (PICS-F)といい、次の項で解説します。

PICSを予防しよう

患者および家族におけるPICS、PICS-Fの発生を減少させるためには、危険因子を予防または最小化することです。ABCDEバンドルとは、人工呼吸管理患者の管理においてPICSを予防するためにABCDEを頭文字とする管理をバンドルで(束ねて)行う概念で、2010年頃より提唱され始めました。その後、さらにPICSを減少させるためならびに、PICS-Fを予防するために「FGH」が加えられ、ABCDEFGHバンドルとなりました(図2)。

麻酔科

まとめ

PICSとは、ICU在室中あるいはICU退室後、さらには退院後に生じる運動機能、認知機能、メンタルヘルスの障害です。さらには患者家族のメンタルヘルスにも影響を及ぼします。ICU患者の長期予後改善には、PICSの予防をし、いかにICU患者およびその家族に質の高い生活を提供できるかが重要です。

文献
1. Needham DM, Davidson J, Cohen H, et al. Improving long-term outcomes after discharge from intensive care unit: Report from a stakeholders’ conference. Critical Care Medicine. 2012;40(2):502-509.
2. Davidson JE, Harvey MA, Schuller J, Black G. Post-intensive care syndrome: What is it and how to help prevent it. American Nurse Today. 2013;8(5):32-38.

PICS-F(集中治療医学会のホームページより転載)

PICSは生存しているICU患者でのみで発生する一方、PICS-Fは生存者および非生存者の家族で発生することがあります。
家族における長期的な影響は、心理的、社会的な要因があります。
患者の家族のおよそ10-75%が不安に苦しんでいます。
PICS-Fには不安障害、うつ病、急性ストレス反応、睡眠障害、心的外傷後ストレス障害(Post Traumatic Stress Disorder:PTSD)などがあります。
患者が死亡した場合、家族は喪失感に苛まれ、長期間複雑な悲しみに苦しむ可能性があります。
このような家族が抱えるストレスは、もともとある身体的および健康問題を悪化させることがあります。
対処法としてはコミュニケーションを中心とした対処(例:VALUEによるコミュニケーション)やICU日記などが活用されることがあります。
ICU日記は家族から医療スタッフに対して質問ができるきっかけになり、家族と患者のコミュニケーションが促進されることがあります。
患者-家族中心の医療の実践と満足度向上につながることも期待でき、PICS-Fの軽減につながるかもしれません。
PAD guideline(Crit Care Med 2013)ではPICS-F予防のためにICUにおいて整えるべき環境として、面会をフレキシブルに行うこと、家族にベッドサイドに来てもらい、患者のケアに参加してもらうこと、意思決定に関わる十分な情報を提供すること、その上で家族の考えを知って医療者と家族の感覚のズレを少なくすることが述べられています。
またICUから一般病棟への引き継ぎの際、もれなく家族の情報を伝えていくことも大切だと思います。

VALUEによるコミュニケーション

Value and appreciate what the family members said・・・家族の言っていることの価値を認める

Acknowledge the family members emotions・・・家族の感情を認め、その感情に医療者が気づいていることを伝える

Listen・・・話を良く聴く

ask questions that would allow the caregiver to Understand who the patient was as a person・・・他人と違う一個人として患者を理解するための質問をする

Elicit questions from the family members・・・家族からの質問を引き出す

5.周術期支援センターについて

[周術期支援センター]

周術期支援センターでは麻酔科管理(全身麻酔ないし脊椎麻酔)を行う手術患者さんを対象に、入院前に各種検査の評価、専門診療科紹介、薬剤師による内服薬の管理などを必要に応じて行った上で、麻酔科医による評価と麻酔計画を立案し、スムースかつ安全に手術を受けることができるようサポートします。それに加えて周術期の栄養管理、リハビリテーション、疼痛管理も守備範囲として、より包括的な周術期のサポートを目指します。

周術期支援センター

岡山赤十字病院 周術期支援センター (PeriOperative Support Team;POST)のご案内

はじめに

高齢化社会の進行に伴い、以前では適応にならなかった多くの合併症を有する患者さんや超高齢者も手術・麻酔の対象となり、より綿密で包括的な術前評価と周術期管理が求められる時代となっています。岡山赤十字病院では周術期支援センターの設立に先立ち、令和3年度より周術期管理を学んだ手術室看護師、薬剤師と協力し、術前麻酔科外来の運用を開始しました。段階的に症例数・対象診療科を増やすとともに、院内で検討・業務改善を重ね、令和4年4月に周術期支援センター(PostOperative Support Team ; POST)を設立いたしました。周術期支援センターは病院本館2階の麻酔科・ペインクリニック外来に併設されています。

麻酔科

周術期の疼痛管理について

手術の痛みに対しては、必要に応じてセンター内の周術期疼痛管理チーム(医師・看護師・薬剤師)が担当します。硬膜外麻酔カテーテルを挿入された患者さま、末梢神経ブロックのためのカテーテルを挿入された患者さま、そしてPCA (Patient Controlled Analgesia; 自己調節疼痛管理法)を行っている患者さまが主に対象となります。

中止薬・薬剤の管理について(薬剤部より)

手術をより安全にすすめるために、使用中の薬剤を確認しています。原則として、手術決定日に当院薬剤部にお越しいただきお薬のチェック、中止を含めた服薬指導を計画させていただきます。
病院へお越しの際は、お薬手帳や薬剤情報提供書、どちらもない場合はお薬自体をお持ちください。
複数のかかりつけ薬局があり、お薬手帳(薬剤情報提供書)が分かれている場合はすべてお持ちください。また、健康食品やサプリメントなどは手術や麻酔へ影響することがありますので、原則中止をお願いしております。

●手術前に服用できない薬剤・・・原則中止となります。詳細・薬剤名はこちら
一部の糖尿病薬
一部の女性ホルモン薬

●手術前に注意が必要な薬剤・・・医師が服用中止または続行を判断します。 該当する場合でも自己判断での中止はしないでください。詳細・薬剤名はこちら
一部の女性ホルモン薬
血液がサラサラになる作用のある薬

お薬を中止・変更が必要な場合は、当院の薬剤師より中止薬と中止の日程について説明します。
必要に応じてかかりつけ薬局で、お薬を仕分けてもらいます。

栄養管理について(栄養課より)

手術前から栄養状態を整えることは、手術後の順調な回復のために、とても大切です。
そのため、術前は栄養不良が疑われる方を中心に食事摂取量や体重の変化などについて確認し、必要があれば栄養相談を行います。
術後は摂取量に応じて嗜好調査などを行い、必要な栄養が満たされるようにサポートします。また、嚥下機能や術式に応じた栄養相談も可能です。

これまでご説明したように、手術ができる限りスムースかつ安全に遂行でき、合併症を最小のものとするためにスタッフ一同で支援いたします。しかしながら、当事者である患者さんそしてご家族におかれましても、禁煙、生活改善、新型コロナウイルス感染症の感染予防などにつきましてご協力をお願いいたします。

禁煙について

喫煙は種々の周術期合併症を増加させます。禁煙期間は長ければ長い方がより有効ですが、短期間の禁煙でも一定の効果があります。受動喫煙も手術を受ける患者さんにとっては有害ですので、ご家族揃っての禁煙をお勧めします。

麻酔科

麻酔科

新型コロナウイルス感染症について

新型コロナウイルス感染症が確認されてすでに2年以上が経過しています。ウイルスの変異とワクチンの普及により、死亡率や入院率は劇的に改善し、個人レベルでは過度に恐れる必要のない感染症になりつつあります。しかし、病院や高齢者施設など感染に対して脆弱な人々が集団で収容されている施設においては、施設内での拡散は未だ脅威であり、厳重な感染対策、持ち込み防止策が求められています。
当院では手術患者さんを含むすべての入院患者さんに対して入院前にPCR検査を施行していますが、検査から入院までに感染した場合は捉えることができません。いっぽうで新型コロナウイルス感染症に感染した状態で麻酔や手術を受けると重症化する危険性もあります。したがって、入院前のPCRの結果いかんに関わらず、入院前最低1週間は感染リスクの高い行動(流行地への旅行・移動、人との接触、マスクを外しての飲食等)をできる限り控えていただくようお願いいたします。

令和4年6月現在国民の8割が2回以上、6割が3回以上の新型コロナワクチン接種を終えています。その一方で、新型コロナウイルスに過去に罹患した人の数は800万人(全国民の18人に一人)を超えており、ワクチン接種あるいは感染の既往と手術・麻酔の関係についての情報が必要と考えます。
令和4年5月に日本麻酔科学会から「麻酔・手術を受ける患者さんへのワクチン接種の提言」が公開されました。ワクチンの効果を確実に得るためには原則としてワクチン接種から手術までは2週間あけるのが理想とされています。一方体力や呼吸機能の回復を考慮し感染後は重症度に応じて4週間から12週間あけるのが理想とされています。逆に手術の緊急度や重要性を考慮して待機期間を短縮することも容認されています。個別の待機期間につきましては主治医・執刀医とご相談くださいますようお願いいたします。

6.研修医案内

連絡先 麻酔科 奥 格(おく さとる)まで
Tel 086-222-8811(代表)
E-Mail satoru_oku@yahoo.co.jp

麻酔科研修の概略

「目の前に急変した患者がいる。死に瀕した患者がいる。その場面に遭遇した時、あなたは医師として何が出来ますか。」 この命題に答えることが初期臨床研修の目的の一つであり、なかでも救急科研修が重要な部分を担っています。従来当院では安全にかつ効率的に研修の成果を上げるため、初期研修1年目に麻酔科において救急科3ヶ月の研修を行なっていました。令和2年度から麻酔科における救急科研修が1ヶ月に限定されたため、院内の体制を整備し令和4年度から初期研修1年次に1ヶ月の麻酔科研修を行うプログラムに変更しました。
1年次の麻酔科研修では、手術患者の麻酔を通じて医師としての考えかたや手技のminimum requirementを効率よく安全に習得させる事を目指します。2年次は1年次に習得した知識と技術をもとに手術麻酔、集中治療を中心に研修を行います。十分な研修の成果を得るため、2年次の選択研修期間は3ヶ月以上を原則としています。3年次以降、専攻医として麻酔科を選択する場合は、岡山大学の麻酔科専門医研修プログラムに登録し、4年間の研修を行うこととなります。
上に述べた研修期間中には麻酔科標榜医、日本専門医機構麻酔科専門医の取得が可能です。また両資格を取得後あるいは並行して、日本集中治療医学会集中治療専門医、日本呼吸療法学会呼吸療法専門医、日本周術期経食道心エコー認定医(JB-POT)などの資格を取得することも可能です。

研修内容

1年次:全員必修(救急科研修内;1ヶ月)

手術室における麻酔管理(全身麻酔・脊椎麻酔)を通して、静脈路確保、用手的人工呼吸、気管挿管、動脈ライン確保、腰椎穿刺などの基本的手技を経験すると共に、術前患者の評価を通して全身管理の基本的概念を習得します。しかしながら1ヶ月という短期間で習得できることは極めて限られるため、次に示す2年次の研修を選択されることをお勧めします。

麻酔科

2年次:選択(3ヶ月以上)

2年次研修では、1年次に修得した手技の向上に努め、難易度の高い症例においても麻酔周術期管理が施行できるように習熟します。ICUにおいては、心肺停止蘇生後、重症外傷、敗血症、脳血管疾患、呼吸循環不全、重症中毒などのさまざまな重症救急疾患に加え、大手術術後管理患者、院内急変患者の集中治療管理・全身管理を指導医とともに担当します。患者の診療を通して人工呼吸器や血液浄化法など、生命維持装置の取り扱いの基本を習得します。研修期間中は指導医とともにICU当直にも参加します。

後期研修(専攻医;3年次以降)

3年次以降、麻酔科医としてのスペシャルティ習得を希望する場合は、岡山大学病院麻酔科専門医研修プログラム(基幹施設都道府県:岡山県、基幹施設:岡山大学病院)に登録した上で、日本専門医機構麻酔科専門医取得を目指します。麻酔科専門医受験に必須の経験症例数(心臓25例、小児25例、帝王切開10例、分離肺換気25例、脳神経外科25例)は当院のみで習得することが可能ですが、4年間の研修期間のうち最低1年間は岡山大学をはじめとする当院以外の研修病院で研修を行うことが望ましいと考えます。4年間のうちいつどのくらい外部の病院で研修を行うかについては、個人の希望をお聞きした上で、基幹病院と連携して柔軟に対応できるよう配慮いたします。

麻酔科

指導医

部長3名、副部長4名、医長2名、医師4名
日本麻酔科学会 麻酔指導医 8名
日本専門医機構 麻酔科専門医 13名
日本集中治療医学会認定 集中治療専門医 7名
日本ペインクリニック学会 ペインクリニック専門医 4名
日本救急医学会 救急科専門医 6名
日本周術期経食道エコー認定医 4名
日本呼吸療法学会 呼吸療法専門医 2名
JATECインストラクター 1名
日本DMAT隊員 3名 (うち統括DMAT 2名)
岡山県災害医療コーディネーター 2名

カンファレンス

毎日8時30分~9時 麻酔症例検討およびICU当直医によるICU患者カンファレンス
毎日9時~、17時~ ICU回診
毎週火曜8時~8時30分 抄読会