診療内容

診療スタッフ

脳神経外科専門医3名を含む6名のスタッフとなり、24時間・365日どんな病気にも対応できるようになりました。 また最新医療を駆使し、診療に臨んでおります。 近隣の先生方におかれましてはお気軽にご紹介いただければ幸いです。 また患者さんも少しでも気になることなどありましたら受診していただければと思います。 地域に根ざした医療を目指し日々研鑽しておりますのでよろしくお願いします。

お知らせ

水曜日は手術日で外来は休診です。ご注意ください。

医師のご紹介  外来診察表

医療機器関連企業の情報誌に当院脳神経外科の情報が掲載されました。

当科では脳血管障害、脳腫瘍、外傷と脳神経外科領域全般にわたって担当しております。
脳血管障害につきましては、当院脳卒中科と密に連携をとりながら、必要に応じて開頭手術・脳血管内手術を行っております。(脳血管内治療の詳細は脳血管内治療についての欄をご参照ください)
脳腫瘍につきましてはガイドラインに則した標準的治療を行なうほか、遺伝子治療など先進医療については大学病院と連携をとりながら推進しております。
外傷につきましては当院が救急救命センターの指定を受けており、重症頭部外傷患者の受け入れを行なっております。
このほか高齢化社会において関心の高まっている認知症についても、専門外外来を行なっております。(詳細は認知症外来についての欄をご参照ください)

臨床指標

手術実績・手術件数

  平成24年 平成23年 平成22年
開頭術 128 160 133
  開頭脳腫瘍摘出術 24 26 25
脳動脈瘤手術 37 47 26
脳動静脈奇形摘出術 2 4 4
微小血管減圧術 22 20 20
開頭血腫除去(非外傷性) 17 28 27
開頭血腫除去(外傷性) 3 1 5
急性硬膜下血腫 8 17 11
急性硬膜外血腫    4 6 3
外減圧術    1 4 1
STA-MCA吻合術    3 4 1
髄液漏閉鎖術    1 0 2
脳膿瘍    6 1 2
その他 0 2 6
経蝶形骨洞下垂体腫瘍摘出術 2 6 4
脊椎脊髄手術 13 7 10
  脊髄腫瘍 0 0 1
退行性病変 13 7 9
頭蓋形成術 18 23 22
水頭症手術 39 40 26
頸動脈内膜剥離術 10 5 9
穿頭洗浄術 47 52 48
脳室ドレナージ 39 26 35
脳血管内手術 6 3 2
定位的脳内血腫吸引術 6 4 8
その他 17 11 16
325 337 313

あきらめずに遠慮なく受診してください

顔の痛み、顔面痙攣で悩んでいる方、他院で三叉神経痛、顔面痙攣と診断された方、どのような治療を受ければよいか迷っている方、 もう年だからと諦めている方、年齢は関係ありません、遠慮なく当脳神経外科外来(火曜、金曜午前中)を受診していただければ幸いです。 
またセカンドオピニオンにも対応していますのでどうぞ御連絡ください。

治療の紹介

三叉神経痛について

三叉神経痛の痛みの特徴

三叉神経痛の痛みの特徴には以下の3点が挙げられます。
(1).右もしくは左一側顔面の痛みである
(2).発作性に生じる
(3).洗顔、食事、歯磨きなどで誘発される

MRIを用いて三叉神経周囲を細かく調べる方法を確立

よく歯が痛いということで歯科を受診される方も多いです。本疾患は痛みのため物事に集中できなくなったり、 食事ができず体重が極度に減少し、余病を併発することもあるというものです。診断は特徴的な痛みを備えているかということと、 我々はMRIを用いて三叉神経周囲を細かく調べる方法を確立し、神経とその周囲の状態を手に取るようにみております。 この方法は海外の多くの雑誌においても取り上げられ、評価をいただきました。

多くは血管による神経への圧迫によるもの

多くは神経に対し血管が圧迫することによって発症します。 年齢を経るにしたがい動脈硬化は大なり小なり起こってくるものですがそれに伴い血管は屈曲蛇行し、神経に圧迫を加えてくるものと推察されます。 しかし20歳代の患者さんも多く今のところ原因ははっきりしないとしか言いようがないものと思われます。

多くは血管による神経への圧迫によるもの

多くは神経に対し血管が圧迫することによって発症します。 年齢を経るにしたがい動脈硬化は大なり小なり起こってくるものですがそれに伴い血管は屈曲蛇行し、神経に圧迫を加えてくるものと推察されます。 しかし20歳代の患者さんも多く今のところ原因ははっきりしないとしか言いようがないものと思われます。

三叉神経痛術中所見

三叉神経痛術中所見

三叉神経痛の治療法

三叉神経痛の治療として薬物治療、神経ブロック、放射線治療などありますが、根本的な治療として手術が挙げられます。

三叉神経痛に対する手術

三叉神経痛に対する手術は基本的に神経から圧迫している血管を離すというものです。通常耳の後ろに約5cmの皮膚切開を行います。 髪の毛は切開部にほんの少し剃るのみです。頭蓋骨に500円玉程度の穴をあけます。この部より手術用顕微鏡を用いて手術をします。

手術にかかる時間 手術は通常1時間30分程度で終わります。
麻酔 全身麻酔です。
入院期間 10日間程度

[ 合併症の予防 ]

この手術の合併症として難聴が挙げられます。 これを予防するために我々は手術中検査部の方々の協力も得て聴性脳幹反応を持続的に調べております。すなわち耳の聞こえを確認しながら手術をしております。 このような準備のもと進められる手術ですので現時点手術合併症をみていません。手術結果も90%以上の例で痛みの完全消失、 95%で改善をみております。

[結果について]

当脳神経外科においてこのような安定した良好な結果が得られているのは多くの手術経験を踏まえた熟練した技術、 手術中の持続的な聴覚機能の測定のシステムが確立されていること、さらに多くの手術例をふまえた病棟看護体制の充実が挙げられると思います。

手術中の風景

顔面痙攣について

症状

顔面痙攣は顔半分が無意識にピクピク動くもので通常眼周囲にはじまり、 しだいに口角に広がるというものです。疲れていたり、ストレスがかかっている時、特に出現します。

原因は顔面神経に対する血管の圧迫によるもの

原因は三叉神経痛と同じく顔面神経に対する血管の圧迫によるものです。 本疾患は美容的観点からも本人におけるストレスは大きく、何らかの治療を受けるべきと考えます。

治療方法

治療は大きく分けてボツリヌス注射、手術となります。

手術について

手術は基本的に三叉神経痛と同様顔面神経から血管を離してやるというものです。

合併症の予防

合併症もやはり三叉神経痛と同じく難聴があげられますが、 「三叉神経痛に対する手術」にも述べましたように手術中耳の聞こえを持続的に測定するシステムが確立されていますので、 現時点この合併症を見ておりません。手術結果も安定した良好な結果を得られており95%に症状消失または軽快をみております。

脳動脈瘤について

未破裂脳動脈瘤

 脳動脈瘤は、脳の動脈の分岐部に発生する風船状のこぶで、破裂していない状態では無症状ですが、破裂するとクモ膜下出血になります。もし脳動脈瘤が破れてクモ膜下出血になると、6割の方は助かりますが、残りの4割の方は亡くなられます。しかし、厳密に言えば、生存できたとしても問題なく社会復帰される方はその約半数で、残りの半数の方は何らかの障害を残すと言われております。したがって、最近では脳ドックなどにより、脳動脈瘤が破裂する前に、つまり未破裂脳動脈瘤の状態で見つけて治療しようとする試みがなされるようになってきました。脳ドックでは、主にMRI(MRA)により検査しますが、成人の2~6%(100人に数人)はこのような瘤をもっていると考えられており、たまたま見つかる場合が多いとされています。発見された未破裂脳動脈瘤は、すぐに破裂する危険性がある一方で、一生破裂しない可能性もなくはありません。そこで問題となるのは未破裂脳動脈瘤の破裂する確率ですが、1年間に1~3%が破裂すると言われています。未破裂脳動脈瘤が破裂し易いか否かは、その他に動脈瘤の形、発生部位、年齢などにも強く影響され、個々の患者さんに対する破裂率を一様に論ずることはできません。
 未破裂脳動脈瘤の破裂を予防する確実な方法は手術以外にありませんが、手術を決断された場合には、当院では細心の注意と最新の技術でもって対応させて頂きます。また、手術を希望されなかった方は、その後MRAなどで外来にて定期的に検査を行い、動脈瘤の大きさや形が変わらないことを確かめていくようにしております。

検査について

 未破裂脳動脈瘤の手術を前提とした場合には、MRA検査のみでは十分とはいえませんので、造影剤を注入して脳動脈瘤の大きさ、部位、形、周囲の血管との位置関係などを検討する必要があります。この検査には、造影剤を静脈内に注入する方法(3D-CTA:CTによる3次元血管立体像)をまず行います。必要があれば動脈内に注入する方法(脳血管撮影)を追加することがあります。

未破裂脳動脈瘤の治療

 開頭手術(脳動脈瘤クリッピング術)と血管内手術(瘤内塞栓術)の二つの方法があります。動脈瘤処理の最も確実な方法は、全身麻酔下の開頭手術により、動脈瘤の頸の部分をクリップで挟む方法です。最近我々は手術合併症ゼロを目標として覚醒下手術を導入しました。覚醒ということで痛いのではないかとか気持ち悪いのではないかという心配が出てくると思われますが、実際手術中痛みを言われる方、気分不良を言われる方は全くおられません。いつの間にか手術が終わっているという感じのようです。ただ全例覚醒下手術を行うわけではなく、症例ごとに考えて、また患者さんの希望を最優先し、手術法を決定しております。入院期間は10日程度です。手術翌日より自由に歩行したり、食事をすることができます。一方、近年広まってきた血管内手術による脳動脈瘤塞栓術は、全身麻酔下に、大腿の付け根の動脈からカテーテルを挿入して、遠隔操作をしながら、動脈瘤内に管を誘導し、脳動脈瘤の内部を特殊な材料で詰めてしまう方法です。入院期間は平均6日程度です。ただ、この脳動脈瘤塞栓術は、最近行われるようになった方法であるため長期的な治療効果はまだ定まっておりません。どちらの手術方法を選択するかは、動脈瘤の大きさ、形、発生部位、年齢、全身合併症の有無などを検討し、より適切な方法をお勧めしております。

最後に

 未破裂脳動脈瘤が発見された場合、当院では医師と患者さんおよびご家族とがよく話し合い、最終的な決定は患者さん側にしていただいております。どう対応するかはたいへん難しい問題ですので、よくよく説明をお聞きになり、御自身のみならず必ず御家族の皆さんを含めて十分に検討して下さい。さらに他院で未破裂脳動脈瘤を指摘されどうしようかとお考えの方もセカンドオピニオンとしてわれわれの考えを説明させていただきますのでお気軽に御連絡ください。

未破裂脳動脈瘤

脳動脈瘤覚醒下手術

今回、岡山赤十字病院脳神経外科において’日本で初めて’脳動脈瘤クリッピングにおいて覚醒下手術を行いました。
 覚醒下手術というのは脳腫瘍の手術の際に、できるだけ症状悪化をきたさないように摘出する方法で、術中はっきり覚醒し、コミュニケーションをとり、しゃべり方、運動感覚機能を確認しながら手術をすすめるというもので、最新医療においてよく取り上げられるトピックスです。

手術中の風景

‘合併症ゼロ’を目指した究極の術中モニタリング

 開頭し、コミュニケーションがとれるというのは、痛いのではとか気持ち悪いのではないかと思われがちですが、近年の麻酔の進歩により、全く無痛で特に問題なく手術がすすめられます。脳動脈瘤の手術は破裂の予防を目的とし、クリッピングという動脈瘤をつぶしてしまう方法を一般的にとりますが、通常全身麻酔下で手術が行われます。動脈瘤の位置、大きさ、形によって手術難易度はさまざまで、難易度の上昇にしたがい運動障害などの合併症が出現する確率が上がってくると言われております。覚醒下手術であれば、術中コミュニケーションをとりながらクリッピングを行い、何か症状が出ればクリップをかけなおすということが即座に行い得ることになります。

すなわち’合併症ゼロ’を目指した究極の術中モニタリングと言えます。何とか行い得ないかということで岡山大学勤務時代脳腫瘍の覚醒下手術の経験のある脳外科小野田、神原医師、覚醒下手術の麻酔経験のある奥医師、担当の看護師と何回もミーティングを行い、種々の事態に対するシミュレーションを繰り返し行いました。

今回術中コミュニケーションをとり運動感覚機能を確認しつつクリッピングを行い、手術は非常にスムーズに進み、術後も特に問題なく経過しております。

最良の手術結果を目指し、有効な最新医療は積極的に取り入れる

 この方法は引き続き適応を考えつつ行ってゆく予定です。近い将来この方法が日本の脳動脈瘤手術のスタンダードになってゆく可能性があると思われます。今後も我々は最良の手術結果を目指しており、最新医療については常にアンテナを張り巡らし、有効であると判断したものは積極的に取り入れてゆきたいと考えております。

今回のスタッフ

悪性神経膠腫

 神経膠腫は脳原発性腫瘍の中で27%を占め、最も頻度が高く、10万人に3~4人の発生頻度です。WHO分類でgrade I-IVに分類され、grade III、IVを悪性神経膠腫と呼びます。grade IIIの神経膠腫と診断された場合では5年生存率20%程度、grade IVの場合には生存期間中央値(MST)が1年程度となり、非常に予後不良な疾患です。

治療の流れ

治療の第一歩はできるだけ多くの腫瘍を摘出すること

 治療の第一歩は、gradeが悪い腫瘍であっても95%以上の摘出ができた場合は予後が改善すると言われており、出来るものは可及的に摘出することです。当院では岡山療護センターに依頼して3T-MRI撮影装置を用いて詳しい診断をまず行い、必要な場合は香川大学病院に依頼してPET検査を実施し、手術前に全摘出に向けてしっかりと計画を練ります。手術は顕微鏡を用いて的確に行うことはもちろんですが、ナビゲーションシステムも用いて、正常脳をできるだけ傷つけないようにします。

術後約10日後、化学療法・放射線療法を実施

 できるだけ多くの腫瘍を摘出した後に術後約10日後に傷がいえた時点から、化学療法・放射線療法を実施します。化学療法と放射線療法は同時進行で行います。

■化学療法

化学療法剤として今ではほとんどの施設で使用されているテモゾロミドを使います。この薬は注射ではなく口から飲むことができます。服用中は副作用として血液成分の減少、悪心・嘔吐・食欲不振、便秘、疲労感、脱毛、頭痛などが起こることがありますが、他の化学療法剤に比べると軽いことがほとんどです。

■放射線療法

42日間毎日このテモゾロミドを飲みながら、放射線療法を行いますが、放射線科の専門医の先生に計画を立てていただき、正常脳を傷害しないように、必要な部分に照射をします。これで初期治療はひと段落します。

入院期間は約1か月半から2か月

ここまでは途中外泊などはできますが、基本的に入院治療となります。つまり約1か月半から2か月の入院が必要です。

退院

 初期治療終了後に退院しますが、以後は外来での治療が始まります。退院後約4週間後よりテモゾロミド内服をします。これは自宅で5日間連続服用し、その後23日間休薬し、また5日間内服するという繰り返しです。この繰り返し回数は、はっきりと決まった数はなく、MRI等で治療効果を確かめながら決定しています。

再発の問題

 このような治療にかかわらず、再発してくることが一番大きな問題点です。今までのところは再発の腫瘍に対しては治療方針が定まっていません。当院では、脳の局所に再発したものに対しては、定位放射線治療(ガンマナイフ、サイバーナイフ)か、再手術かを検討します。また、中断していた化学療法を再開します。この再開する化学療法は何が最もよいかは分かっておらず、状況を見ながら各種薬剤を試してみるというのが現状です。

予後について

 悪性神経膠腫は非常に予後が悪く、患者さん・ご家族にとっては悲劇的な運命です。何とかこの病気を克服しようと、全国の各施設が、特徴的な方法を精力的に研究しています。しかしながら今のところは特にgrade IVの場合、約1年の生命予後であるため、障害を残さず、少しでも長く有意義な生活を送っていただくという点に主眼を置いた治療が最良の方針であろうとされているのが現状です。