1.診療科について
お知らせ
動画を掲載しました。(2021.11.25)
診療内容

心臓外科領域
- 狭心症、心筋梗塞に対する冠動脈バイパス手術
- 弁膜症の手術、大動脈弁や僧房弁の狭窄症、閉鎖不全症に対する手術
- 心房中隔欠損症などの先天性心疾患に対する手術
- 完全房室ブロックなどの不整脈に対するペースメーカー植え込み手術
血管外科の動脈領域
- 胸部大動脈瘤
- 急性大動脈解離
- 腹部大動脈瘤
- 下肢閉塞性動脈硬化症
- 急性動脈閉塞
- 腎性高血圧
血管外科の静脈領域
- 下肢静脈瘤
- 深部静脈血栓症
- 肺動脈塞栓症
- バスキュラーアクセス作成および管理(内シャント作製)
バスキュラーラボ(Vascular Lab)
切らないでなおす下肢静脈瘤手術(高周波カテーテル治療)のご案内
下肢静脈瘤に対する高周波カテーテル治療(ラジオ波を用いた血管内焼灼術)が平成26年6月より保険適応となりました。岡山赤十字病院心臓血管外科でも、この技術での治療を平成26年10月より開始いたしました。カテーテルを血管の中にいれてラジオ波(高周波)による熱により静脈壁を収縮させ、静脈を閉塞させる治療法です。従来の手術とくらべて切らないで治すことが可能となりました。
体への負担が少ないので日帰り手術が可能です。
下肢静脈瘤でお悩みの患者さんは当院心臓血管外科外来までご相談ください。平成28年9月時点で100例に達しました。
動画
下肢静脈瘤血管内焼灼術(ラジオ波)
当科の特徴と方針
患者さんの負担が少ない手術をめざして。
もう年だからとあきらめないでください。
まず、患者さんの負担が少ない手術に必要なことはなんでしょうか?
早期発見、早期治療です。代表的な病気として大動脈瘤があります。大動脈瘤は発見が遅れ破裂してから手術しても約半数の患者さんは救うことができません。早期に発見して治療すればほとんどの患者さんを救うことができます。もちろんそのほかの心臓病についても同様のことがいえます。
すなわち、早期発見は非常に大切です。病気が重篤になってから手術しては術後の回復に時間がかかるのはいうまでもありません。
そこで、岡山赤十字病院心臓血管外科では積極的に心臓病や血管の病気の早期発見に努力しております。
特に糖尿病、高コレステロール血症、高血圧また透析患者さんは心臓病や血管病が隠れている危険があります。当院ではこれらの患者さんの動脈硬化判定や心臓病や血管病の検診を行っています。主治医の先生にご相談されるか心臓血管外科外来を受診してください。
心臓や血管の手術というと従来、大手術だという印象がありましたが、岡山赤十字病院心臓血管外科では患者さんの負担が少ない手術をめざし、手術後、はやく普段の生活にもどれるよう最新の治療を積極的に導入しています。そのため、いままでは手術が危険であったご高齢の患者さんでも負担の少ない手術を行うことで以前より手術を安全に行うことができるようになりました。心臓手術での最高齢は90歳の女性。血管手術の最高齢は94歳男性です。
心臓血管外科チーム

- チームの力で患者さんをサポートさせていただきます。
- 岡山赤十字病院心臓血管外科は循環器内科とハートチームを形成し、患者さんに最良な治療を患者さん、ご家族と相談させていただき決定します。
- 治療法が決定した後、入院前より医師(心臓血管外科医、麻酔科医、循環器内科医、糖尿病内科医、リハビリ医、精神科医、歯科医)、看護師、理学療法士、薬剤師、臨床心理士、管理栄養士、ソーシャルワーカーと全ての職種が参加したチーム医療を行っています。
- 手術中は各分野のスペシャリスト(心臓血管麻酔科医、看護師、臨床工学技士、体外循環技術認定士、臨床放射線技師)がサポートさせていただきます。
- 術後、重症の方はICUに入室していただき、集中治療医、ICU看護師とともに、安全な術後管理を行います。
- 入院中は術後早期からのリハビリはもちろん、栄養服薬指導、退院後の生活支援等、早期回復を心臓血管外科チームとして安心、安全にサポートいたします。
- 岡山赤十字病院は計36科医師148名(常勤医)在籍する総合病院であり、心臓血管病以外の持病などをお持ちの方でも安全に対応させていただきます。
医師(心臓血管外科医、麻酔科医、循環器内科医、リハビリ医、精神科医、歯科医、糖尿病内科医)
看護師(外来、循環器センター、手術センター、ICU;集中治療室、外科病棟、医療安全)
山根 かえで(外来看護師長)
加藤 礼子(7東病棟看護師長)
黒田 忍(CCU,3西病棟看護師長)
やさしい説明とチーム医療で患者さんも笑顔、スタッフも笑顔
妹尾 優子(6南病棟看護師長)
6南病棟では、透析に欠かせない内シャントの管理について、患者さんが自己管理できるようサポートします。
岡田 由美子(手術室看護師長)
患者さんが安心して心臓手術を受けていただけるよう、チーム医療の一員として、質の高い看護を提供します。
森 充恵(ICU師長)
ICUでは、手術直後の患者さんの回復を促し、少しでも快適に過ごせるように医療チーム一丸となってサポートさせて頂きます。
本行 祥子(医療安全師長)
医療安全の立場から、手術室において、安全で質の高い医療が提供できるように支援します。
ME;臨床工学技士、体外循環技術認定士
伊藤 新一
尾﨑 友則
石田 周
森田 龍介
矢野 真太朗
学会などに積極的に参加し技術の向上を図り、医療安全にも心がけながら患者さんに最高の医療と技術を提供いたします。
透析(シャント)サポートチーム
和田 浩則
上田 真也
シャントに関して患者さんの不安や疑問がなくなるようにサポートいたします。お気軽にご相談ください。
リハビリ
小幡 賢吾
手術前から退院までの間の心臓リハビリテーションを担当しています。より良い状態での早期退院を目指し、さらに退院後の運動に関しても指導を行っています。運動に関して疑問点などありましたら、お気軽にご質問ください。
薬剤師
森 英樹
甲元 大樹
廣田 あゆ子
入院前から退院まで、薬のことを担当させていただきます。毎日飲む薬だからこそ、飲みやすく、分かりやすい説明を心がけています。
臨床検査技師
谷口 裕一
山畑 恵子
三木 伸良
向井 元子
生田 ひかり
心電図や超音波検査などの生理検査を担当しています。
精度の高い検査を行って、適切な治療の選択・決定のために必要な情報を提供するのが役割です。
患者さんとの対話を大切にし、良質な医療サービスの提供を心がけています。
管理栄養士
永井 由賀
病態に適したお食事の提供により、心臓血管外科術前・術後の栄養管理を行っています。また、食事療法を必要とされている患者さんに対しては、生活スタイルや食習慣に合わせた栄養指導を実施しています。
診療放射線技師
森下 哲理
杉原 功
片岡 敏徳
X線血管撮影を担当しています。患者さんに安全で且つ最適な画像を提供できるよう日々努めています。
医師クラーク
常定 加奈枝
心臓血管外科医師事務作業補助者として、事務的な面から医師をサポートし、本来の診療に専念できるよう努めて参ります。
ソーシャルワーカー
横田 和
患者さんが安心して治療に専念できるよう、経済的な問題や介護の問題など様々なご不安について相談をお受けしています。
臨床心理士
東郷 和美
主治医の先生やNs.など他職種の方と協力して患者さんの心理面のサポートを提供いたします。
心臓血管外科症例カンファレンス(毎週木曜日)
患者さんに満足していただけるよう、心臓血管外科チーム一同はなお一層努力してまいります。よろしくお願いいたします。
はーと通信
患者さん向けの岡山赤十字病院心臓血管外科では新聞を発行しております。
参考にしていただければ幸いです。
- はーと通信 1号(下肢閉塞性動脈硬化症)
- はーと通信 2号(下肢静脈瘤)
- はーと通信 3号(腹部大動脈瘤)
- はーと通信 4号(急性動脈閉塞)
- はーと通信 5号(深部静脈血栓症)
- はーと通信 2018年7月号
- はーと通信 2018年8月号
2.主な疾患と治療法
心臓・大血管疾患
心臓拍動下の冠動脈バイパス手術(心臓を止めないで行う冠動脈バイパス手術)
冠動脈バイパス手術とは狭心症、心筋梗塞の患者さんに行う手術で、1~2mmほどの心臓の血管に血管を縫い付ける手術です。とても細かい作業なので以前は心臓を止めて縫い付けていましたが、最近、いろいろな器具が開発され、心臓を止めなくても縫い付けることが可能となりました。心臓を止めないので患者さんの負担が軽く回復が早くなります。この技術により高齢の患者さんでも安全に手術できるようになり、早期退院、早期社会復帰も可能となってきました。
心臓弁膜症に対する手術
僧房弁弁膜症に対しては可能な限り弁形成術を行っています。僧房弁の修理が無理な場合や、大動脈弁弁膜症に使用する人工弁も改良がすすみ、問題なく使用できるようになりました。また、弁膜症に合併する心房細動にも低侵襲なメイズ手術を導入しています。心臓手術には不可欠な人工心肺も進歩し、高齢者でも安全に手術が可能となっています。
大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術
ステントグラフトという人工血管を大動脈瘤の中に入れて大動脈瘤に直接血圧がかからなくする方法です。足の付け根の小さな傷のみで手術が可能で、お腹や胸を大きく切らないとできなかった手術が、切らなくても可能となりました。そのため回復が早く、高齢者でも手術が可能となりました。ただし、動脈瘤のできた場所やかたちによりこの手術可能かきまります。
動画
胸部大動脈瘤ステントグラフト内挿術
腹部大動脈瘤ステントグラフト内挿術
血管疾患
下肢閉塞性動脈硬化症に対する早期発見
手と足の血圧を同時に測れる器械が開発され、簡単に、短時間で下肢閉塞性動脈硬化症であるかどうか診断できるようになりました。また、バスキュラーラボという血管検査室を開設し、血管エコーやCTで患者さんに負担がかからずに病気の診断ができるようになりました。
下肢閉塞性動脈硬化症に対する経皮的血管形成術
足を栄養する動脈のせまいところや詰まっている動脈を風船で拡張し、ステントを挿入します。局所麻酔で行います。1泊入院で治療が可能です。
下肢静脈瘤に対する手術
従来は1週間ほどの入院が必要であった下肢静脈瘤の手術が低濃度大量局所麻酔による選択的ストリッピングという方法で、1泊入院で手術ができるようになりました。平成26年10月より切らないでなおす手術(高周波カテーテル治療)を導入し、日帰り手術も可能となりました。令和2年10月から下肢静脈瘤血管内接着剤治療を開始しました。
動画
下肢静脈瘤硬化療法
下肢静脈瘤血管内焼灼術(ラジオ波)
下肢静脈瘤血管内接着剤治療
下肢静脈瘤について
透析シャントについて
皮膚炎や皮膚潰瘍を伴った下肢静脈瘤に対する内視鏡手術
皮膚炎や皮膚潰瘍をともなった重症な下肢静脈瘤の治療に患者さんの負担の少ない内視鏡を使った手術を行っています。いままでは1ヶ月ほどの入院を必要としていましたが2-3日の入院で手術ができるようになりました。
バスキュラーアクセス作成および管理
透析に必要な内シャントの作成、管理を行っています。バスキュラーラボを活用して血管エコーによる内シャントの定期検診を行っています。内シャントの異常を早期に発見し、透析の命綱といえる内シャントを管理させていただきます。
必要なら風船治療(経皮的シャント形成術)を行い透析が安全にできるように治療させていただきます。定期検診をしていただくことによりシャントのトラブルはほとんどなくなりました。
術前術後、安心して外来通院できるようサポートいたします。