乳腺センターのご案内
乳腺センター開設について
【背景】
乳がんは、今や日本人女性の11名に1名が生涯のうちに罹患する身近な病気になっています。日本における2013年の乳がん罹患数は約76,800人、また2016年の乳がん死亡数は約14,000人です。60歳以下の女性でのがん死亡は、乳がんが最も高い割合となっています。乳がんは日本人女性のがんで最も罹患率の高いがんですが、 欧米ではさらに罹患率が高く8名に1名の罹患となっています。日本においても、今後ますます増加の一途をたどる事が予測されます。
乳がんは手術、薬物療法(抗癌薬、内分泌治療薬、分子標的薬)、放射線治療を含む適切な治療により、長期生存が期待できる疾患です。また、乳がん検診は、早期発見により死亡率低減に繋がることから、その重要性が広く認知されています。そして、転移・再発乳がんに対する治療は長期間に及ぶことが多く、患者や家族の気持ちに配慮して治療に当たる必要があります。乳がん治療は日進月歩でめまぐるしく進化しています。われわれは『日本乳癌学会ガイドライン』に準じた標準治療を原則とする一方、先駆的な診断や治療法についても十分に吟味した上で、最新情報を用いた診療も重要視しています。しかし、40歳代と90歳代の患者では治療戦略が異なってくるように、ガイドラインによる治療を原則に、 個々の身体機能、併存疾患、認知機能、社会支援などを検討し、治療法を決定する必要があります。また、乳がんに対する根治性同様、術後のボディイメージが損なわれることによる生活の質低下が問題視されるようになり、整容性にも配慮した乳癌術式への関心が高まっています。2014年1月に一部の乳房インプラントが保険収載されて以降、乳房切除に伴う乳房再建が広く行われるようになっています。このように近年の乳癌治療は、乳腺・内分泌外科単独では限界があり、他部門と連携した『チーム医療』としての総合力を強化するために、乳腺センターを開設することになりました。
【目的】
- 急激に増加している乳がんを最重点疾患のひとつと捉え、当院の総合病院である利点を生かして、主として放射線科、放射線治療科、病理診断科、形成外科、緩和ケア科と緊密に連携して、より正確な診断、より高度な治療を行う。
- 関連する診療科との連携により、高齢者など高リスクの患者を受け入れ、より安全な治療を提供できる体制を構築する。
- 医師以外の多職種のメディカルスタッフと連携し、それぞれの専門性を発揮することで質の高い医療を提供する。
- 専門性を持ったスタッフがお互いに連携して診療に当たることで、患者さんやご家族に満足感を持ってもらう。
【関連部門】
- 乳腺・内分泌外科
- 放射線科
- 病理診断科
- 形成外科
- リハビリテーション科
- 緩和ケア科
- 外来看護師
- 病棟看護師
- 化学療法室看護師
- 薬剤部
- 検査部
- 病理部
- 健診課
- 地域医療連携課
センター・副センター長
吉富 誠二

杉山 成史

原 享子
