チーム医療とは

チーム医療とは、「医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」です。したがって、チームは共通の目的・到達目標・手段に合意し、その達成のために責任を分担する相互補完的な技能を持つプロフェッショナルにより構成されています。そして「チーム医療」では、その構成メンバー一人ひとりが高い専門性を発揮しながら、これをチームの中で再統合するという行為によって『いかにすれば患者により良質の医療を提供することができるか』という共通の課題に取り組んでいます。

チームの紹介

↓脳神経外科チーム  ↓心臓リハビリチーム  ↓褥瘡対策チーム


脳神経外科リハビリチーム

私たちリハビリテーション科も、多数の専門職が患者さんと関わりながらリハビリテーションアプローチを進めていきます。
各職種はただ単にチームのメンバーとして参加しているのではなく、職種の垣根を越えた意見交換を行い、お互いの情報を交換・共有することで共通の目標に向けてそれぞれの役割を最大限に発揮しています。
リハビリテーション科ではいくつかのチームに分かれて患者さんにリハビリテーション医療を提供させて頂いていますがその中のひとつ、脳神経外科リハビリチームをご紹介します。

私たちのチームは毎週、主治医、リハビリテーション医、看護師、薬剤師、医療相談員、療法士(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士)が集合しカンファレンス(情報交換会)を開催して、患者さんの情報提供や方針について話し合っています。
またチームで回診を行う事で、患者さん一人ひとりの状態を確認しながら、今後の目標を決めています。
その他にも、病棟の看護師と療法士が連携し、患者さんが日常生活で困っている動作の問題点を挙げ、共に解決していく話し合いも開催しています。

実際に病棟の生活場面で、患者さんと看護師、療法士が介助方法や動作方法を伝達し合い、また病棟でもできるリハビリ方法を共有することで、より良質な日常生活の提供を目指しています。
さらに、チームとしてのよりよい連携を図るために、自己の専門的知識・技術の向上だけでなく、職種間での勉強会を開催し、お互いの職務の理解や自己の役割と責任の明確化への努力をしています。

拡大チームの概念のもと、急性期病院である当院から地域の回復期病院への連携を密にした、急性期から回復期への連続性かつ一貫性のあるリハビリテーション医療の実践に向け努力しています。
このようにリハビリテーション科では多職種が関わり情報を共有し、連携を図りながら協力することで、さらなる総合的なリハビリテーション医療を提供し、患者さんお一人お一人の社会復帰への手助けを行っています。


心臓リハビリチーム

心臓リハビリチーム

昨今の本邦の高齢化社会に伴い、当科のCCUをはじめとした循環器病棟の入院患者さんにも多様な疾患を合併された方が非常に増えてきました。
また、ご高齢者の場合、一晩臥床されただけでも四肢の筋力が衰え、体を動かすだけでも大変な労力が必要となることも稀ではありません。

そうした流れの中で、心臓リハビリテーションの重要性が大きくクローズアップされています。そこで当科でも幅広い職種の方々に集まって頂き、週に一度火曜日の午後、心臓リハビリカンファレンスを行っています。
医師(循環器内科、リハビリテーション科)、看護師、理学療法士、言語聴覚士、薬剤師、栄養士、medical social worker、臨床心理士、生理検査技師など院内の非常に幅広い職種の方々が集まり、積極的な意見交換をしています。
患者さんの治療方針、看護上の問題点、服薬状況、栄養状態、精神状態、生活面の状況、転院先のご希望、進捗状況など多彩な面からの、それぞれの専門家たちの考え方が出され、患者さんのためのみならず、出席している我々の勉強にもなります。
実習生も積極的に受け入れています。参加者全員が患者さんのためにと、真剣にはもちろんのこと、和気あいあいと議論しています。

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褥瘡対策チーム

 褥瘡(じょくそう)とは、いわゆる「床ずれ」のことです。皮膚への血流が、持続的な圧迫により障害されて生じる皮膚組織の損傷(潰瘍)です。
褥瘡には起こりやすい状況、起こしやすい身体的変化および出来やすい部位が知られています。
私たちは、入院患者さん一人ひとりに対して褥瘡が発生する危険はないか注意深く検討し、その可能性のある場合には早期から発生を未然に防ぐように計画を立て、対策を実施しています。
しかし、患者さんの状態によってはどうしても発生を未然に防ぐことができない場合もあります。
その時には様々な職種のスタッフが集まり、しっかり治療し、早く治すように努めています。

最近では、褥瘡を持って入院される患者さん、治療中の褥瘡を持って離院される患者さんが増えてきています。
そのために、今後は院外の医療施設あるいは介護ステーションなどとの連携をいっそう図っていく必要があると考えています。

褥瘡対策チーム

起こりやすい状況

個体要因

  • 基本的日常生活自立度が低い
  • 外力:病的骨突出、関節拘縮、
    浮腫がある。
  • 湿潤:発汗による多汗、尿・
    便失禁、オムツ使用。
  • 栄養:経口摂取不良による
    低栄養で、るい痩、浮腫を
    生じている。

局所要因

  • 加齢による皮膚の変化
  • 摩擦・ずれ
  • 局所の皮膚疾患

社会的要因

  • 介護力(マンパワー)不足
  • 福祉制度・サービスなどに
    関する情報不足
  • 経済力不足

起こしやすい身体変化

  • 寝たきりの高齢者
  • 急性期疾患:発熱、疼痛、自立度低下、知覚低下、意識障害など
  • 周術期:手術前安静、手術中体位、手術時低血圧、術後除痛など
  • 特殊疾患状態:脊髄損傷で車いす生活、神経変性疾患、精神疾患、鎮痛剤使用時など
  • 終末期:疼痛、呼吸困難、低栄養など

生じやすい部位

生じやすい部位

仰臥位 後頭部、肩甲骨部、肘頭部、仙骨部、踵骨部
側臥位

耳介部、肩峰突起部、肋骨部、腸骨部、大転子部、膝関節果部、踵部、外果部、内果部

腹臥位 耳介部、肩峰突起部、乳房(女性の場合)、性器(男性の場合)、膝蓋骨部、足指

チームメンバーとその活動

医師 2名
看護師 3名
管理栄養士 1名
作業療法士 1名
薬剤師 1名
事務職員

1名

 中等度~重症の褥瘡患者さんに対しては、対策チームによる定期的回診(週1回)を行っています。回診時には、病棟スタッフとともに褥瘡の評価を行い、ケアや処置の見直しを行っています。回診後には、チームメンバーでカンファレンスを開き、個々のケースの検討や全体の問題点について意見交換を行っています。
軽症の患者さんに対しては、皮膚・排泄ケア認定看護師が定期的に回診を行い、病棟スタッフにケアの伝達方法、指導を行っています。

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