2014年7月、自己免疫疾患センターが開設されました。リウマチや膠原病に限定したセンターは全国にありますが、原因や治療のターゲットをより明確にした「自己免疫疾患センター」は他に類を見ず、当院独自の特色です。ただ、自己免疫疾患は、膠原病やリウマチ性疾患よりも、より多くの病気を含みますので、「挑戦的」な試みと言えます。
関節リウマチをはじめとした膠原病、自己免疫疾患をお持ちの方は約1〜2%で、決してまれな病気ではありません。その症状は、どの臓器が自分の免疫から攻撃されるかによって極めて多彩です。従って、一人の患者さんがしばしば複数の専門診療科を受診しています。
自己免疫疾患センターは、11の専門診療科と4つのコ・メディカル部門の参加からスタートしました。より良い、高度な医療を提供するために、この専門診療科の垣根を越えた協力体制を確立させ、拡充させていくのが当センターの使命です。
自己免疫疾患は症状が多彩であるため、どの専門診療科にも初診として受診する可能性があり、診断は簡単でないことがほとんどです。自己免疫疾患センターでは、各々の病気や新薬に関する最新の情報を各科で共有できるよう努めています。
また、自己免疫疾患はそれ自体が命にかかわる場合もありますが、最も患者さんの予後に影響するのは感染症です。自己免疫疾患の患者さんは、もともと免疫の病気であるために、感染症が重症化し易く、免疫抑制剤を治療で用いるとその危険性はより大きくなります。感染症はいつでも、どこの臓器にも起こりえるため、院内専門各科だけでなく、地域医療機関との連携が極めて大切です。
自己免疫疾患はまだ、完治する病気ではなく、病気になるメカニズムも完全に解明されていません。当センターでは国内外の大学、研究機関、地域の病院と連携し、病気の解明・克服のための研究を行っています。研究の成果は毎年、国内外の学会などに発表しています。
*)研究代表者在籍施設