高齢化社会の到来とともに、泌尿器癌、排尿トラブルなどが急増し、泌尿器科のニーズはますます拡大しています。当科では、高齢者の方に対する悪性腫瘍疾患治療として、低侵襲手術(体に負担が少ない手術)を積極的に導入し、患者さんへの負担軽減と早期回復に努めています。
腹腔鏡手術を早期から導入し、豊富な経験と実績があります。近年では、前立腺肥大症に対する低侵襲手術であるCVP(経尿道的レーザー前立腺蒸散術)を岡山市内で唯一導入しており、安全性の向上と入院期間の短縮を目指しています。
2014年5月より併設された緩和医療病棟と連携し、がん治療においては緩和ケア科と協力しながら、患者さん一人ひとりに寄り添った総合的な治療を提供しています。デリケートな悩みもお気軽にご相談ください。
前立腺は男性特有の臓器で、精液の一部を生成します。膀胱の下、尿道を取り囲むように位置しています。前立腺癌とは、この前立腺から発生する癌です。
主な症状: 排尿困難、頻尿、残尿感など排尿に関する症状が多く見られますが、早期には無症状のこともあります。進行すると骨に転移し、骨の痛みを引き起こすことがあります。
直腸指診: 肛門から指を入れて前立腺の状態を触診します。
PSA検査(血液検査): 前立腺特異抗原(PSA)の値を測定します。
超音波検査: 直腸から超音波プローブを挿入し、前立腺の状態を画像で確認します。
経直腸的前立腺針生検: 前立腺の組織を採取し、顕微鏡で詳しく調べます(当院では1日入院で行っています)。
病期診断: MRI、CT、骨シンチグラムなどを用いて、がんの広がりを調べます。
開腹手術: 従来からの手術法に加え、より小さな切開で行う手術も行っています。
腹腔鏡手術: お腹に数カ所の小さな穴を開け、カメラと鉗子を用いて手術を行います。体への負担が少なく、早期回復が期待できます。
ロボット支援手術: 最新鋭の手術支援ロボットを導入し、より精密で低侵襲な手術を提供しています。従来の開腹手術と比較して、出血量の減少、手術時間の短縮、術後の早期回復、傷跡の小ささなど、多くのメリットが期待できます。
以下のリンクより、ロボット手術の紹介動画が閲覧できます。
体の外から放射線を照射する外照射療法(当院で実施)と、体の内側から放射線を照射する内照射療法(岡山大学、川崎医科大学と連携)があります。病状によりホルモン療法を併用することがあります。
男性ホルモンの働きを抑えることで、がんの進行を抑制します。
外科的去勢(睾丸摘除)、内科的去勢(注射薬)があります。
前立腺がんに対する抗癌剤治療を積極的に行っています。
血管の状態に応じて、埋め込み型カテーテルを用いた外来治療も可能です。
近年開発された新しい薬剤を、適切な患者さんに積極的に使用しています。
前立腺は、男性の膀胱の下にあるクルミほどの大きさの臓器で、尿道を取り囲んでいます。加齢に伴い前立腺が肥大すると、尿道を圧迫し、排尿に関する様々な症状を引き起こすことがあります。
○主な症状
排尿困難(尿が出にくい)
頻尿(排尿回数が多い)
夜間頻尿(夜中に何度もトイレに起きる)
残尿感(排尿後もスッキリしない)
尿意切迫感(急に尿意を感じ、我慢するのが難しい)など
問診: 症状や既往歴などを詳しくお伺いします。
直腸指診: 前立腺の大きさや硬さを確認します。
尿検査: 尿の状態を調べます。
PSA検査(血液検査): 前立腺がんとの鑑別のために行います。
残尿測定: 排尿後に膀胱に残っている尿の量を測定します。
尿流量測定検査: 1秒間に排泄できる尿の量を測定します。
超音波検査: 膀胱や前立腺の状態を画像で確認します。
前立腺の緊張を和らげる薬や、前立腺を小さくする薬などを使用します。
薬物療法で効果が得られない場合や、症状が重い場合に検討されます。
経尿道的前立腺切除術(TURP): 尿道から内視鏡を挿入し、電気メスで肥大した前立腺組織を切除します。
経尿道的レーザー前立腺蒸散術(CVP): 岡山市内で唯一、当院で導入している治療法です。レーザーを用いて肥大した前立腺組織を蒸散させるため、従来のTURPと比較して出血量が少なく、早期の排尿状態の改善が期待できます。体への負担も少ないため、高齢の方や合併症をお持ちの方にも適応できる場合があります。
膀胱は骨盤内にある袋状の臓器です。尿をためる(蓄尿)はたらき、尿を排出する(排尿)はたらきがあります。膀胱内腔の表面は移行上皮からなる粘膜でおおわれています。膀胱癌の大部分は、この移行上皮から発生します。最も多い症状は肉眼的血尿で、大部分は痛みなど他の症状を伴いません。膀胱癌は、膀胱鏡により診断します。尿検査、尿細胞診、X線検査、超音波検査、CT、MRIなどの検査を状況に応じて行い病状の診断に役立てます。
経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT): 早期の膀胱腫瘍に対して、尿道からカメラを挿入し腫瘍を切除(電気の通ったループで切り取る)します。
膀胱全摘除術と尿路変向: 進行した転移の無い膀胱癌に対しての標準治療として、膀胱全摘除術と尿路変向(ストマ、代用膀胱など)を行います。
表在性膀胱癌に対して、抗癌剤・BCGを膀胱内に注入します。BCGは弱毒化した結核菌で、膀胱内に週に1回2時間注入します。これを計6回繰り返します。
浸潤性膀胱癌で膀胱温存を目的とした場合に、化学療法と併用して行うことが有ります。
浸潤性膀胱癌および転移性膀胱癌に対する全身治療として、シスプラチンを中心とした薬剤を使用し抗癌剤治療を行います。入院で治療を行うことが多いですが、外来でも行えるよう工夫して勤めています。
腎臓は背骨をはさんで背中側に、左右にひとつずつある握りこぶし大の臓器です。働きとしては、血液中の老廃物の濾過、血圧の調節、骨を強くする為のビタミンD産生などを行っています。腎癌はこの実質部分に発生した悪性腫瘍で、腎細胞癌とも呼ばれます。3大症状は、側腹部痛、血尿、腫瘤触知とされていましたが、現在は画像検査で偶然に腎癌を指摘されることが多く、無症状のケースがほとんどです。CT、MRI、骨シンチなどを行い病状の診断に役立てます。
開腹手術:腎およびそれを取り囲む脂肪を一塊として摘出します。比較的大きな腎腫瘍に対して行います。
腹腔鏡手術:小さな腫瘍に対しては内視鏡手術で行います。お腹に数カ所の穴をあけ、そこからカメラ、鉗子などの手術器械を入れて手術を行います。傷が小さいため術後の回復が早く、美容的にも優れています。腹腔鏡手術の歴史は比較的浅いですが、現在では標準術式となってきています。 現在当院では2名の泌尿器腹腔鏡技術認定医が在籍しています。近年、小径腎癌に対しては腎部分切除術が行われるようになりました。当院でも積極的に部分切除術を行うようにしています。
腎癌に対しては基本無効ですが、骨転移で疼痛のある場合に症状緩和のために放射線治療を行います。
インターフェロンを注射することで免疫力を高め、癌細胞を治療する方法です。現在では、原発巣と肺転移のみを認める症例で使用する場合が有ります。
以前はインターフェロンなどの免疫療法が行われていましたが、近年では免疫チェックポイント阻害剤や分子標的薬といった新しい薬剤が登場し、治療の中心となっています。
免疫チェックポイント阻害剤: 免疫のブレーキを解除することで、患者さん自身の免疫細胞ががん細胞を攻撃するのを助ける薬です。
分子標的薬: がん細胞の増殖や血管新生に関わる特定の分子を標的とし、その働きを阻害することでがんの進行を抑える薬です。内服薬や点滴薬があります。
患者さんの病状や体の状態に合わせて、最適な薬剤を選択し、治療を行います。
尿路結石とは、腎臓、尿管、膀胱、尿道といった尿の通り道にできる石のことです。激しい脇腹の痛みや血尿を引き起こすことが多く、時に吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
○主な症状
激しい腰や脇腹の痛み: 間歇的に強くなることが多いです。
血尿: 目に見える場合と、顕微鏡でしか確認できない場合があります。
頻尿、残尿感: 石が膀胱に近い尿管にある場合などに起こることがあります。
吐き気、嘔吐: 強い痛みに伴って起こることがあります。
問診: 症状について詳しくお伺いします。
尿検査: 血尿や感染の有無などを調べます。
レントゲン検査(KUB): 結石の種類によっては写らない場合があります。
超音波検査: 腎臓や膀胱の状態、結石の有無を確認します。
CT検査: 小さな結石やレントゲンに写りにくい結石の診断に有用です。
小さな結石の場合、水分を十分に摂取し、鎮痛剤などを使用しながら自然に排出されるのを待ちます。
尿管の痙攣を抑える薬や、結石を溶かす効果のある薬を使用することがあります(結石の種類によります)。
自然排石が難しい場合や、痛みが強い場合、腎機能障害がある場合などに検討されます。
経尿道的結石破砕術(TUL): 尿道から内視鏡を挿入し、レーザーや空気圧などで結石を破砕します。
経皮的腎結石破砕術(PNL): 背中から腎臓に小さな穴を開け、内視鏡を通して結石を破砕します。大きな腎結石に対して行われます。
体外衝撃波結石破砕術(ESWL): 体外衝撃波結石破砕術(ESWL)は、体の外から衝撃波を当てて、結石を細かく砕き、自然な排出を促す治療法です。皮膚を切開する必要がなく、比較的体への負担が少ない治療法とされています。しかし、結石の大きさや硬さ、位置によっては適応とならない場合があります。 当院ではESWLは実施しておりませんので、ESWLが適応となる患者さんにつきましては、近隣の実施医療機関をご紹介させていただきます。
平成2年卒業
山陽新聞 岡山 医療健康ガイド MEDICAに掲載
平成10年卒業
平成27年卒業
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1診 | 竹中 皇 | 竹中 皇 | 佐々木 克己 | 交代制(予約のみ) | 佐々木 克己 |
2診 | 小田 浩司 | 廣野 美紗 | 廣野 美紗 | 小田 浩司 |
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